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そんなある日、談志は談春の胸中を見透かして、「お前に嫉妬とは何か教えてやる」と言って、
次のように説いている。談志、49歳のときの言葉だ。
「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、
自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。
一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。
本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。
しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。
芸人なんぞそういう輩のかたまりみたいなもんだ。
だがそんなことで状況は何も変わらない」
嫉妬に陥ると、つい相手の実力にケチをつけたくなるものだ。
しかし、相手の評判を貶めたところで空しいだけ。
本当に悔しければ、とるべき行動は別にあるはずだ。
談志にそう指摘された談春は、それ以来、志らくとできるだけつるむようになった。
そして志らくの意外なまでの古典落語への愛情、そしてその圧倒的な覚えの早さに舌を巻いたのである。
結局、志らくは談春よりも早く、真打ちへと昇格。
談春は自ら名乗り出て、志らくの真打ち昇格パーティの司会を務めた。
後輩が自分を抜くパーティを、自らが司会をして祝う――。
自分を追い込むような行動に、談志もそれを聞いたときは思わず黙ってしまったという。
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- 「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。」立川談志49歳のことばが身にしみる - エディターズダイアリー | ジセダイ
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