2013/11/13


40年以上前に出された1冊の本があります。それが、メディアといえばこの人とも言えるマーシャル・マクルーハンの書いた「機械の花嫁」(文献1) という本です。この本では、広告、テレビ、ラジオ、映画、雑誌などのメディアにおける59の実例がまないたの上にあげられ、メディアの向こうにいる人たち がどのような意図を持ちどのようなテクニックを駆使して大衆の心の中に入り込もうとしているかが痛烈に暴き立てられているのです。


 彼はこの本の中で攻撃対象の企業名や個人名を一切隠していません。その内容はたとえば次のようなものです。


・商品の回転率を上げるために、習慣でも所有物でもあっさり捨て去ることを何とも思わないような心理を形成させるテクニック。
・勝ち犬になってみたいと願う多くの負け犬読者を引き付ける雑誌。
・スリルと興奮をもたらして戦争に駆り立てる新聞。
・流行りやすたりだけを強調し、結局虚無(ニヒリズム)しか残らない広告イメージ。
・名声や教養は、知覚や判断における鑑識力の有無ではなく、消費力の有無を意味するという、広告の基づいている思想。
・セックスとテクノロジーと死が結びつけたパターンを基調とするイメージ。
・無害で健康的な飲物であるというイメージを徹底させようとするコーラ会社。
 大衆の心を惹き付けるために懸命になっている産業社会の破滅への道がマクルーハンにはくっきりと見えるのでしょう。彼は上に示したようなもののおかげで事態は次のようになる/なっていると述べます。


・死を日常生活の範疇(生産工程の中)に入れるのに慣れっこになる。
・消費財の大小をして成功の尺度とするので、人間の性格、才能の多様性は抹殺される。
・月世界旅行もできると約束してくれるのはよいが、その手段を提供してくれる新技術は既に戦争体制に組み入れられており、いざ月旅行の段で、どこにも乗客がいない。
・市場のメカニズムと人間不在の生産技術が、肉体の喜びと生殖機能の分離に基づいて同性愛やファシスト的暴力を育てる。
・スーパーマン(文明人としての日常生活の面倒くさい段取りに我慢できず力ずくで一挙に解決したいじりじり感を具現する心理的敗北のドラマ)がもてはやされる。
・個人の無力感によって人間不在の巨大企業に駆り立てられ、巨大な権力機構と自分とを空想の中で同一化する。




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