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また、ローマ紳士の富の源泉は、主として官庁ロビーでの利権の取引と属州の収奪だったそうな。巨額の金を投じて猟官に奔走し、いったん高級官職口 にありつくと、莫大な利益をむさぼってすぐ元手を返し、あまった金は投資する。著者は、それを俗悪だとか断罪しない。反対にそれを美点だと錯覚することも ない。ただ、「それがローマだ」と淡々と語るのだ。周辺からの搾取の歴史がローマからヨーロッパ、そして現代に至るまで(カタチは変われども)連綿と続い ているのだ。
「書かれていない」ことについての批判も辛らつだ。鉱山では奴隷が強制的に働かされており、賃金も支払われず、災害事故を防ぐ安全設備も施されて いなかった。この時代の鉱山の状態では毎週のように大事故が起こって死者を出していたはずだが、ローマの歴史家たちには「ニュースにならない」らしく、何 も記録されていないという。要するに、「ローマ人」の定義から外れる人間は、基本的に人扱いされないのだ。金品でやりとりされる貴重な家畜といったところ か。家畜が歴史に残らないように、彼・彼女らも記録されない。この視線はジャーナリストならでは。
あまりのミもフタもなさに、塩野七生は「反論」のつもりであんな萌えローマを書いたのでは、と思えてくる。ともあれ、併読すると面白さ倍増する ぞ。特に、塩野ローマ本「だけ」で、脳があたたかになっている団塊に、目覚ましのつもりでオススメしたい。
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- 「ローマ人の物語」の種本?「ローマの歴史」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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