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人類はとうとう完璧な人工万能細胞を作り出すことに成功した。
以前IPS細胞だとかSTAP細胞だとか騒がれていたが、このTTB細胞はそのどちらも遥かに凌駕していた。
今やこのTTB細胞により、自分の細胞情報が登録しているカードを専用の自動販売機にかざせば、必要な体の部位や臓器が買える時代である。
たとえば事故などで腕をなくしてしまったとしても、自動販売機で新しい腕を購入して医療機関で神経を繋いでもらうだけで、元通りになるのである。
買える部位や臓器は限られているので、私のように自分の丸ごとのクローンを出して雑用やら厄介ごとをすべて押し付けてしまおうと考える偉大な(?)者たちにはそぐわない。
もっとも私の思いついた自分のクローンの使い方は究極のマッサージである。 自分のクローンであれば自分の体の凝りやすい箇所などよく分かっているはずなので、最高のマッサージが受けられるのではと考えていた。 特に健康に問題のない私だからこそ思いつくプチ贅沢であると思う。
ただ、TTB細胞専用の自動販売機では制限が体の一部位、もしくは一臓器に限られているので、クローン丸ごと一体を出すというのは不可能だった。
しかしその願いは意外と早く叶えられた。
知人が自動販売機の細胞生成制限を解除するプログラムを書き上げたのだ。
そしていよいよクローン丸ごと一体の作成が決行される夜が来た。
私は知人の示した自動販売機へとやってきた。
そして小型の携帯用溶接機で自動販売機の取り出し口を人一人が通れる大きさに切り取った。
少しして自動販売機のディスプレーが見たこともない色に光り始めた。
どうやらその知人が、遠隔操作で自動販売機のシステムに入り込めたようだ。
ディスプレーの背景の白色は青色に変わり、黄色、そしてオレンジ色に変わった。
事前に打ち合わせをした時の知人からの指示通り、ディスプレーがオレンジ色に変わったその瞬間、私は自分の細胞カードを自動販売機にかざした。
通常なら「ピー」とブザーがなって欲しい体のパーツが出てきて終わりなのだが、その「ピー」が鳴り続けた。
そのブザー音と連動するかのように自動販売機の中では「私のからだ」が作られ続けている。
ガタンゴトンという振動が止むと、取り出し口からヌゥっと人影が現れた。
一糸纏わぬその肉体はまさしく私そのものだった。
溶接機で広げた自動販売機の取り出し口から出てきた私のクローンが、私に向かって何か言いかけたところで、突然自動販売機から派手な音楽が鳴り、ディスプレーには「あたり!」の表示が出た。
そしてまた「ピー」というブザー音が鳴り、自動販売機はガタンゴトンと振動に揺れ、素っ裸の私がもう一人現れた。
後から出てきた私のクローンと先に出てきた私のクローンが、じろじろとお互いを見ていたかと思ったら二人は私のほうを向いてこう言った。
「マッサージしてくれないか」
◆IPS、STAP、TTB細胞の実用化に間に合わず、今月末(2014年4月末)ドイツにて心臓の手術を受ける女性がいます。
その莫大な手術費用に皆さまよりご援助いただきたく存じます。
【ティナちゃん募金】
どうぞ、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
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IPS, STAP, and TTB
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