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でもねわたし『ライ麦畑』は嫌いなの、と彼女は言った。私はもぐもぐ口を動かしながら彼女を見返した。彼女は膝をそろえ、背筋をきっちり伸ばしていた。
ホールデン・コールフィールドなんてろくな人間じゃない、と彼女は言った。自分は邪気のない綺麗な人間だってことを、長編いっぱいかけて世界 中に示したがってる。これ見よがしにね。わたしは思うんだけど、あんな男の子は世界中のイノセンスに見捨てられた人間につばを吐かれる。わたしも吐く。一 年分くらい吐くよ。
” 
 
- フィービーはそこにいた - 傘をひらいて、空を