“オイルショックをご存じだろうか。
若い人たちは知らないはずだ。
「いや、知っている」
という君は間違っている。
若い人たちは知らないはずだ。
「いや、知っている」
という君は間違っている。
というよりも、君の知識のモトになっている「スーパーのトイレットペーパー売り場に客が殺到するVTR」は、ありゃウソです。
そう、この二十年の間に、のべ何百回か再生されたにちがいない、あの「主婦殺到映像」は、ヤラセとまでは言わないが、「演出上の意図に沿って極端な場面を切り取って見せた、世相の一断面」ちなみに、私は当時高校生だったが、あのニュース映像に出てくるような場面に出くわしたことは一度もない。
にもかかわらず、メディアの中では、「昭和48年=オイルショック=トイレットペーパー消滅」というひとかたまりの図式が歴史的事実として認定されてい
る。たぶん、この先、この漫画じみた連想作用は「米騒動→一揆打ちこわし→ええじゃないか」あたりの大河ドラマ的記憶とごっちゃになって、新たな歴史教科
書問題を形成していくのだと思う。
かくして、歴史は歪曲され、私や同年の友人たちが個々人の頭の中に蓄えている記憶は、公式の文書や局内ビデオライブラリーの映像に圧迫されながら、徐々に無視黙殺看過放置されて、50年もするうちには、完全に消滅するにちがいない……のである。たぶん。”
- 活字中毒R。
- 活字中毒R。