“数年前、関西の方のローカル列車に乗っていた時。土曜のお昼過ぎ、およそどこの田舎でもその時間帯の列車は9割方地元の高校生に占拠されているわけで、その列車も座席は完全に高校生で埋まり、自分はドア際にぼんやり立っていたのですが。
そのときけたたましく鳴り始める音。ガンガンに割れていて最初は何かわからなかったけど、よく聞くとエイベックスのある歌手の新曲。ボックス席を占拠していた女子高生グループのひとりがダウンロードしたのでしょう、ガラケーの小さなスピーカーの音量を最大にして友達に聴かせているところでした。
高校生占拠列車はある種の「治外法権」 で、自分はそこに入れてもらっているだけだという感覚なので、うるさいけれど別に腹は立てません。ただ、それを見て思ったのは「多分これが彼女たちの日常 なのだな」ということ。ガラケーは着うたをダウンロードしたところで通常自由にコピーすることはできず、携帯だけに友達に貸すこともできません。そういう 状況で友達と音楽をシェアしようというとき、彼女たちの思い至る範囲ではこれしか方法がなく、だからその酷い音質もきっと彼女たちにとってはこれまでも繰 り返されてきた「日常」なのだろうと。
「デジタル高音質」であることが理由でシェアが困難になったとき、彼女たちはその高音質を享受することより「シェアすること」の方を選んだんです。
映像だって似たようなもんで。地デジだ高画質だと言ってる横で、若い子たちはYouTubeや ニコ動の酷い画質の映像を「それが普通」として見ている。著作権者側が「音質」「画質」という価値を盾に権利を声高に主張し、守りを固めれば固めるほど、 その価値は「不要」と判断されていく。本当は若い子たちにはもっと豊かな音で、もっときちんと聴いてほしいのだけど。でも、彼ら彼女らの今最も大切な WANTSを満たす選択はそっちだったわけで。”
- 2012-06-15 - WASTE OF POPS 80s-90s
そのときけたたましく鳴り始める音。ガンガンに割れていて最初は何かわからなかったけど、よく聞くとエイベックスのある歌手の新曲。ボックス席を占拠していた女子高生グループのひとりがダウンロードしたのでしょう、ガラケーの小さなスピーカーの音量を最大にして友達に聴かせているところでした。
高校生占拠列車はある種の「治外法権」 で、自分はそこに入れてもらっているだけだという感覚なので、うるさいけれど別に腹は立てません。ただ、それを見て思ったのは「多分これが彼女たちの日常 なのだな」ということ。ガラケーは着うたをダウンロードしたところで通常自由にコピーすることはできず、携帯だけに友達に貸すこともできません。そういう 状況で友達と音楽をシェアしようというとき、彼女たちの思い至る範囲ではこれしか方法がなく、だからその酷い音質もきっと彼女たちにとってはこれまでも繰 り返されてきた「日常」なのだろうと。
「デジタル高音質」であることが理由でシェアが困難になったとき、彼女たちはその高音質を享受することより「シェアすること」の方を選んだんです。
映像だって似たようなもんで。地デジだ高画質だと言ってる横で、若い子たちはYouTubeや ニコ動の酷い画質の映像を「それが普通」として見ている。著作権者側が「音質」「画質」という価値を盾に権利を声高に主張し、守りを固めれば固めるほど、 その価値は「不要」と判断されていく。本当は若い子たちにはもっと豊かな音で、もっときちんと聴いてほしいのだけど。でも、彼ら彼女らの今最も大切な WANTSを満たす選択はそっちだったわけで。”
- 2012-06-15 - WASTE OF POPS 80s-90s