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たしかに、作曲家チームのやり方は、だまし討ちに近いものだった。
その意味では、作曲家をはじめ、ウソをついていた人々は報いを受けるべきなのだろう。
ただ、CDを出荷停止にしたり、音源を配信停止にするのは、罰や責任を求める先としてスジが違うと思う。
以前にも、大麻を吸引した音楽家のアルバムが販売停止に追い込まれたことがあった。
あの業界の人たちは、いつも、何かが起こる度に、同じあやまちを繰り返している。
「作者が汚れたことで作品が汚れた。だから販売を自粛する」
という設定でコンテンツを扱うことは、結果として自分たちの首を絞めることになる。
どういうことなのかというと、「作者の不祥事を作品の罪として断罪する」思考の先には、当然「作品が純粋であるためには、作者が倫理的であらねばならな い」という結論が待っているわけで、このあり得ない(というよりも反・芸術的な)桎梏は、むしろ、制作の現場に欺瞞や虚偽をはびこらせる原因となるに違い ないからだ。 

 
 
- 幽霊たちは誰を見ている?:日経ビジネスオンライン