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いずれにせよ、祖母の為にこの計算をしてみることにしました。
一日に吸う本数、そして一本のたばこを何口で吸うかを元に計算をしてみました。
自分 で導いた計算の答えに満足した私は、後部座席から助手席の方に身を乗り出して祖母の肩をトントンと叩き、自信満々に言いました、
「おばあちゃん! たばこ を一口吸うごとに2分寿命が縮まるんだ! つまりおばあちゃんの寿命は9年も縮まっていることになるんだよ!」
この時のことは非常に鮮明に記憶に残っています。
私が求めていた反応とは違う反応が返って来たのです。
(会場笑)
私は私の賢さと計算のスキルを祖父母に褒めて欲しかっただけだったのです。
「ジェフ! お前はすごく賢いな! こんなに複雑な計算が出来るなんて。人生の一年から何分が奪われるか、だって? 割り算も出来るのか!」
と、こんな具合にはなりませんでした。
(会場笑)
なんと、祖母が泣き出してしまったのです! 
彼女が泣いている間、私はどうしたらいいかわからず後部座席に座っていました。
それまでずっと黙って運転していた祖父がハイウェイの路肩に車を停めました。
そして私の方に周って車のドアを開け、付いてくるように私を促しました。
「やばい! 怒られる!」
祖父はとても賢い穏やかな人でした。
祖父に叱られたことは過去に一度もありませんでした。
これがその記念すべき最初になるんだ、いや待てよ、もしか したら、車に戻っておばあちゃんに謝りなさい、と説かれるのかもしれない、なんて不安に思っていました。
今までこんなことは一度もなかったので、一体これ から何が起こるのか想像もつかなかったのです。
彼はトレイラーの横で立ち止まりました。
私もそこで止まります。
少しの沈黙の後、彼は私をしっかりと見て、やさしく穏やかにこう言いました、「ジェフ、いつかわかる日が来ると思うが、賢くなるよりもやさしくなるほうがはるかに難しいことなのだよ」

 
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