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“それから、目線をだんだんと遠くにのばしてくれたのは、風やすれ違うひとの気配でかんたんに吹き飛んでしまった、かすかな歌。
 なにを歌っているの。たずねるとよしてしまう。はな歌は、寝言に似ているから、だまって息の消えていくほうについていった。そうすると、かならずきれいに染まった木があった。”
 
 
- 白水社 :連載・エッセイ 石田千「からだとはなす ことばとおどる」 9.うたう